藍色の古い布を何枚もつぎはぎしたジャケットを見て、「このブランドは何者だろう」と気になったことはありませんか。クオン(KUON)の服は、ひと目でそれとわかる存在感があります。
クオンは、だれがどんな思いで始めたブランドなのか。定番として作り続けられているのはどんな服なのか。そして2026年秋冬は、どんなコレクションになっているのか。この3つを、公式サイトで確かめられた事実をもとにたどっていきます。先に結論をお伝えすると、クオンは古い布に残る時間ごと、服として次の世代へつなぐブランドです。
この記事でわかること
・デザイナー石橋真一郎さんの経歴と、ブランド名「久遠」にこめられた意味
・ボロのブレザー、ボロのバケットハット、泥染めのシャツという3つの定番
・2026年秋冬コレクションの見どころと、岩手県大槌町の刺し子の工房
「久遠」を名に持つクオン、テーラー出身デザイナーの軌跡

こんにちは、中古アパレル委託販売フクツグの田中です!
クオンは東京・渋谷区に拠点を置く日本のブランドで、2016年春夏シーズンからコレクションを発表しています。原宿・神宮前には旗艦店もあります。
デザインの出発点にあるのは、古着や古い布が持つ文化への敬意です。ただし「昔のものをそのまま再現する」のではなく、今の街で着られる形に仕立て直すところに、このブランドらしさがあります。その感覚は、デザイナーの経歴を知るとよく見えてきます。
石橋真一郎、老舗テーラーとパリのパタンナーを経て

デザイナーの石橋真一郎さんは、文化服装学院を卒業したあと、東京の老舗テーラーで修業を積みました。その後、パリコレクションで発表するブランドでパタンナー(型紙を引く職人)として経験を重ね、2014年に独立。フリーランスのパタンナーとして活動したのち、2016年春夏からクオンを手がけています。
テーラーとパタンナー、どちらも「服の形」を突きつめる仕事です。クオンの服が、つぎはぎの古布を使っていても野暮ったく見えないのは、ジャケットの肩や衿の形がきちんと設計されているからだと感じます。素材は古くても、シルエットは都会的。この組み合わせが、クオンの服の土台になっています。
出典:ファッションプレス「クオン : KUON – ブランド」、KUON公式サイト「About」(2026年9月時点)
ブランド名は「久遠」、美しいものは美しいまま

ブランド名のクオン(KUON)は、日本語の「久遠」から来ています。「遠い過去」や「遠い未来」、そして「永遠」を表す言葉です。
公式サイトには「新しいものは古くなるが、美しいものは美しいまま残る」という考え方が掲げられています。伝統にしばられず、長く続くもの・シンプルなもの・本物であることを大切にする。さらに、デザインを通して社会の課題に向き合い、「おしゃれであること」と「社会にとって良いこと」を両立させる生き方を提案している、とも書かれています。

名前に「過去」と「未来」の両方が入っているのがおもしろいにゃ。古い布を、これから先も着られる服にする。ブランド名がそのまま仕事の説明になっているんだにゃ。
クオンの名作は古布から:ボロのブレザーと泥染めシャツ

クオンの公式オンラインストアには「Signature」という分類があり、ブランドを代表するアイテムがまとめられています。並んでいるのは、ボロ(使い古された布をつぎはぎした布)を使ったジャケットや小物、そして天然の染めで仕上げたシャツです。ここでは、その中から3つを選んで紹介します。
ヴィンテージボロのパッチワークブレザー

クオンを象徴するのが、ボロを使ったジャケットです。公式サイトでは、ボロのジャケットを「シグネチャーライン」と呼んでいます。ファッションプレスのブランド紹介によると、このシグネチャーシリーズは、厳選した100年以上前の生地を職人が手作業でジャケットやブルゾンに組み直したもので、1年に数点しか作れないそうです。
このパッチワークブレザーは、そのボロジャケットを作る過程で出た端切れをさらにつなぎ合わせた布で仕立てられています。刺し子の縫い目を入れているのは、東日本大震災で被災した地域の作り手たち。使われている古布は1枚ずつちがうので、同じ柄の一着は二つとありません。
出典:KUON公式「VINTAGE BORO PATCHWORK Blazer」、ファッションプレス「クオン : KUON – ブランド」(2026年9月時点)
裁断くずを生かしたボロ バケットハット

ブレザーよりも気軽にクオンらしさを取り入れられるのが、ボロのバケットハットです。使われているのは「UPCYCLED BORO TYPE2」という布。縫製工場で服を裁断するときに出る端切れを、パッチワークでつないで作られています。
素材は綿100%の日本製。内側にサイズを調整するしくみが付いていて、頭まわり54〜60cmに合わせられます。こちらも1枚ずつ布の表情がちがうため、公式ストアでは色や柄の差を理由にした返品を受け付けていない、と明記されています。「ちがいがあること」そのものが、この帽子の個性というわけです。
奄美大島の泥染めで仕上げたシャツ

古布と並ぶもう一つの柱が、日本の天然染めです。「Regular Collar Shirt-Dorozome Dark-」は、鹿児島県・奄美大島に伝わる泥染めで染められたシャツ。テーチ木(シャリンバイ)の煮汁で染めたあと、泥田に何度もつけることで、木の成分と泥の鉄分が結びつき、色が深まってつやが出ていくと説明されています。
生地はオーガニックコットンの細い糸で、少しゆるめに織った平織り。形はベーシックなレギュラーカラーですが、シルエットは都会的に整えられています。ジャケットの中に着ても、タックインしても合わせやすい一枚です。

泥の田んぼに何度もつけて色を育てるなんて、気の遠くなる手仕事だにゃ。作り手の時間が一枚のシャツに重なっていると思うと、袖を通すのがいっそう楽しみになるにゃ。
藍や日本の手仕事を大切にしているブランドには、45Rもあります。45Rのブランド名の由来をまとめた記事もあわせてどうぞ。

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クオン2026年秋冬コレクションと大槌の刺し子

公式サイトでは、2026年秋冬(FALL/WINTER 2026)のルックとアイテムが公開されています。ルックを見ると、黒や藍の深い色を中心に、ミリタリーやワークの形をクオンの素材で作りかえた服が並んでいます。
2026年秋冬の見どころは泥染めのMA-1と刺し子のお直し

今季いちばん目を引くのは「Dorozome MA-1」です。フライトジャケットのMA-1の形をしたブルゾンを、奄美大島の泥染めで染め上げたもので、公式の説明には「究極の黒」を追い求めた、とあります。表地はナイロン、裏地は市松模様の二重織りの綿。胸ポケットのテープには刺し子の飾りが入り、着るうちに経年変化を楽しめて、染め直しもできるとされています。
ほかにも、刺し子でつくろった跡を見せる「Sashiko Mended」のデニムパンツ、袴の形を取り入れたデニムの「Hakama Trousers」、藍染めの野良着(Noragi)など、日本の作業着や民藝の形を、今の服として着られるように仕立てたアイテムがそろっています。シャツの泥染めや定番のボロと同じ流れの上にありながら、MA-1や袴パンツのように形の幅が広がっているのが今季の見どころです。
出典:KUON公式「FALL/WINTER 2026」、KUON公式「Dorozome MA-1」(2026年9月時点)
岩手県大槌町の刺し子ギャルズという工房

クオンの刺し子を支えているのが、「Sashiko Gals(刺し子ギャルズ)」と名づけられたチームです。拠点は岩手県の大槌町。40代から80代までの女性15人が、刺し子の技法で製品づくりに取り組んでいます。
このプロジェクトが始まったのは、東日本大震災から13年がたった2024年3月11日。刺し子ギャルズはクオンの「刺し子の職人部門」と位置づけられ、使われなくなった品に刺し子をほどこして、もう一度よみがえらせる仕事もしています。服の背景に、作り手の暮らしと町の歩みがある。クオンの刺し子の一針一針には、そうした物語が縫いこまれています。
出典:KUON公式「Sashiko Gals Project」(2026年9月時点)

80代の方まで刺し子を縫っているなんて知らなかったにゃ。ブランドの服が、町の人の仕事にもつながっているんだにゃ。
テーラード出身のデザイナーが手がける日本のメンズブランドという点では、アタッチメントの記事も読みくらべるとおもしろいはずです。

まとめ:クオンの一着は時間ごと受け継がれていく

クオンは、2016年春夏に始まった東京のブランドです。テーラーとパタンナーの経験を持つ石橋真一郎さんが、古布や端切れ、奄美大島の泥染め、大槌町の刺し子といった日本の手仕事を、今の街で着られる服に仕立てています。
この記事のポイント
・ブランド名は「久遠」。遠い過去と未来、永遠を表す
・定番はボロのブレザー、ボロのバケットハット、泥染めのシャツ
・2026年秋冬は泥染めのMA-1や刺し子のお直しデニムが見どころ
・刺し子は岩手県大槌町の「刺し子ギャルズ」が手がけている
古い布を生かした服は、次に着る人の手に渡ってこそ「久遠」の考え方が生きてきます。最後に、クローゼットに眠っているクオンの服をどうするか迷ったときの考え方をお伝えします。
価値が分かる場所で手放す、という考え方
ボロや刺し子の服は、布の由来や手仕事を知らない人から見ると「古い布の服」に見えてしまうことがあります。せっかくの一着も、背景が伝わらなければ正しく評価されません。

手放すかどうかは、ゆっくり決めていいにゃ。ただ、手放すなら、その服の物語をわかってくれる人に届けたいよね。
実は「第3の選択肢」があります
服を手放す方法というと、「買取」か「フリマアプリ」の二択を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実はもう一つ、委託販売という選択肢があります。お店が服を買い取るのではなく、お預かりして代わりに販売し、売れた金額の一部をお返しするしくみです。
| 方法 | 手間 | 手元に残るお金 |
|---|---|---|
| 買取 | 送るだけでラク | お店が買い取る金額なので、手元に残る金額が少なくなりやすい |
| フリマアプリ | 撮影・採寸・説明文・値下げ交渉・梱包・発送を全部自分で | 手数料と送料が引かれるぶん、表示価格より手取りは少なくなる |
| 委託販売(フクツグ) | 送るだけ | 販売価格の35〜70% |

古い布が新しい服になったように、その服もまた次の人の一着になる。そう考えると、手放すことも「受け継ぐ」ことの一部なんだにゃ。
日本の職人仕事を大切にするブランドとして、オールドマンズテーラーの記事もあわせて読んでみてください。

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アイキャッチ画像:引用 KUON公式サイト「FALL/WINTER 2026」
その服、
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買取店は販売価格の20〜30%、フクツグは還元率65%で計算した目安です。


